フェリー横転事故  「油処理を最優先に」

御浜町沖のフェリー「ありあけ」横転事故を受け、25日に県庁を訪れた運航会社「マルエーフェリー」の有村和晃社長は、野呂昭彦知事からの要請書への回答書を東地隆司・防災危機管理部長に手渡した。(上村香代)

 船体の早期撤去などを求めた野呂知事の要請に対し、有村社長は「油の流出防止と残油の抜き取りが最優先。油の処理を完全に終えてから、サルベージ会社などの調査を基に撤去方法を検討するので、少し時間をいただきたい」と回答した。

 計約230点の積み荷リストも提出し、「危険品はないが、引き続き安全性を確認する」と伝えた。積載しているコンテナやトレーラーには、主に食料品や日用品が入っていた。現場近くの七里御浜海岸に大量に漂着したプラスチックの中間材料「レジンペレット」は、袋に入れて積んでいたものと同一であることが確認できたという。

 海上への重油の流出は食い止めたが、船内のデッキにも油が流出しており、回収して燃料タンクに移す作業を行っていることを報告。残油の抜き取りについて、同社は「波のうねりに左右されるため、どれだけの日数を要するか分からない」としていたが、東地部長は「条件が整ったケースを想定し、最短で何日かかるのか示してほしい」と要請。有村社長は「油の回収量や日数は、できれば毎日公表したい」とした。

 一方、国土交通省九州運輸局と運輸安全委員会のメンバーは26日、鹿児島市城南町の同社事務所を訪れ、「ありあけ」の乗船経験がある船員らに聞き取り調査を行う。

(2009年11月26日 読売新聞)

第11大栄丸、海底へ 宇久島沖で沈船、魚礁化

平戸市生月町沖で12人が犠牲となった第11大栄丸沈没事故で、国内で初めて公的支援を受けて引き揚げられ、遺体収容を終えた船体が23日、魚礁として佐世保市宇久島の南東約3キロの海底に再び沈められた。

 第11大栄丸は4月、大波を受けて沈没。船主の大栄水産(同町)が国や県の支援を受けて9月、水深約80メートルの海底から引き揚げ、行方不明者12人のうち11人の遺体が船内から収容された。

 船体は、10月までに油抜きなど無害化処理が施され、エンジンなどの機器やマスト、甲板デッキなどを撤去した後、県が2730万円を掛けて魚礁化。宇久島沖の水深約54メートルの海底が、適地に選ばれた。

 同日午後1時、宇久島から船体をえい航。魚道として十数カ所開けられた約50センチ四方の穴をふさぐ資材を除去し、午後3時すぎ、船底に設けたバルブを開ける注水作業が始まり、約19分で海に沈んだ。

佐世保発!:心ある便り /長崎

ハウステンボス(HTB)。園内ホテルのバーで、あるいは海に面したウッドデッキに腰掛けてだったかもしれない。その手紙は、HTBでしたためていると書いてあり、HTBの東園基宏社長あてに投かんされた。

 長崎出身の歌手、さだまさしさんを社長や親善大使に--。

 集客増への切り札。手紙には園内で買ったHTBのレターセットで、さださんに便りを出すともあったという。県内の女性からである。

 福岡の男性は、パリ-イスタンブール(トルコ)間などを結び、近く廃止が伝えられているオリエント急行の車両を持ってきて、ホテルにしてはどうかとつづっていた。アガサ・クリスティーの推理小説でも知られた列車である。鉄道ファンに限らず、アガサファンも訪れると。

 HTBの経営不振が表面化した7月以来、東園社長あてに毎月10通、顧客センターには1日10通前後の激励の便りやメールが届いているといい、中には紹介したような提案も含まれている。

 改めて種々の数字を聞いてみると、92年の開園以来の入場者は5000万人(うち海外客380万人)。宿泊者数は800万人。挙式は5000組。現在、年間パス所有者は10万人。大変な蓄積があっての激励だろう。

 HTBの行方は今、新聞なら経済欄をにぎわすばかりで、改めてその魅力が語られることなく、残念な気がする。便りには自ら返信しているという東園社長は「大変ありがたく、(今掲げる)ボタニカル(植物)リゾートとしての魅力とお客様の満足度の向上に努めていきたい」。ファンとの共鳴を続けてほしい。

 実は、バーとウッドデッキが居心地いい私からの案も一つ。今春のダイヤ改正で九州の寝台特急が姿を消した。東京-HTB駅間での復活はできないか。週末だけでいい。オリエント急行くらい優雅な旅を売りに。<佐世保支局長・小川敏之>

〔佐世保版〕

中部空港に光のつばさ、サンタも来る? 

中部国際空港で20日、クリスマスイルミネーションの試験点灯があり、滑走路を望むスカイデッキを、6万3千個の発光ダイオード(LED)がロマンチックに彩った。

 今年は、人気のモデル益若つばささんに演出を依頼。幅40メートルのデッキいっぱいに飛行機の翼をイメージしたピンクと紫、白の明かりを配置した。入り口の「翼の大聖堂」には、電飾を見下ろせるステージが設けられ、カップルの人気を集めそう。

 本点灯は、21日から来年2月末までの午後5~10時半。空港では、クリスマスまでの週末を中心に、コンサートやサンタとの記念撮影会などが開かれる。

(中日新聞)

カップルお薦め、西山公園愛の鐘 22日にお披露目会

 西山公園に愛の鐘、響け―。福井県の鯖江商工会議所青年部は同公園を新デートスポットにしようと「結びのチャイム」の設置を進めている。一帯では、もみじまつりが開催中で「いい夫婦の日」の22日、お披露目会を開く。

 西山公園を恋愛成就や夫婦のきずなを強めるメッカにするために企画した。つつじまつりなど大イベント以外でも多くの人に来てもらえるような通年型の観光名所にしたい考え。市まちづくり基金や鯖江観光協会などの補助を受け、事業費は約145万円。

 設置場所は市街地を一望できる見晴らしのいい公園内の西山動物園南側の広場。ステンレス製の棒で組み立てた約5メートル四方の四角すい型で、先端内側に付けたウィンドチャイムをひもを引いて鳴らす。下にはウッドデッキも取り付けている。

 また眼鏡製造技術で作ったチタン製のハート形のピースを用意し、訪れた人に名前や誓いなどを書いてもらい、それをひもで結び付ける場所も設ける。ピースは、もみじまつりのイベントとして22、23日に公園内を巡る「カップルスタンプラリー」で参加賞として配る。24日以降は市民ホールつつじやサバエ・シティーホテルなど5カ所で、1つ3百円で販売。商店街各店舗などでも販売する予定で、公園と街中をつなぐアイテムを目指す。

 お披露目会は午前11時開始。当日、結婚式を挙げる1組のカップルにチャイムの初鳴らしをしてもらう。同青年部地域活性∞(無限)委員会の窪田和博委員長は「多くのカップルや夫婦に、デート場所として利用してほしい。モミジと愛で色づく西山公園になれば」と、もみじまつりの来場を含めて呼び掛けている。

コスモワールドが期間限定イルミネーション‐「クリオネ」の展示も

みなとみらい地区の遊園地「よこはまコスモワールド」(横浜市中区新港2、TEL 045-641-6591)は、11月1日より期間限定のスペシャル・イルミネーション「ファンタジー・ナイト2009」を開催している。

 期間中は大観覧車「コスモクロック21」のライトアップが通常のグリーンからピンクレッドに変更され、大観覧車を中心とした園内3つのゾーンに約27万球のLEDライトを使用しイルミネーションを施す。

 11月21日からは「ワンダーアミューズ・ゾーン」のウッドデッキに巨大ツリーが登場。ダイビングコースター「バニッシュ!」のレール頂上部分から地上まで、高さ約25メートルを利用したイルミネーションツリーで、約3万5千球のLEDライトを導入する。点灯は12月25日まで。

 そのほか「ブラーノストリート・ゾーン」のアイスワールドでは、流氷の天使と呼ばれる「クリオネ」100匹を期間限定で公開する。

 よこはまコスモワールドの広報催事担当の坂本大介さんは「大観覧車が温かみのあるピンクレッドに変わっているので、いつもとは違ったよこはまコスモワールドの雰囲気が体験できると思います。これから開催されるクリスマスイベントと併せて期間限定のイルミネーションをお楽しみください」と話す。

 「ファンタジー・ナイト2009」は2月28日まで。

 よこはまコスモワールドは1999年3月にグランドオープン。約20,500平方メートルの敷地に水中突入型ジェットコースターなどのアトラクションのほか飲食施設、物販施設を備える。4月28日に「ワンダーアミューズ・ゾーン」の1階ファーストフード内「コスモコート」がリニューアルオープンした。11月の営業時間は平日11時~21時、土曜・日曜・祝日11時~22時。木曜休園、入園無料。

松戸駅周辺に巨大コアラが登場

巨大なコアラのサンタが松戸駅に出現-。

 松戸駅周辺の7つの商店街などは21日から、クリスマスイベントを開始する。開催期間は12月24日まで。

 松戸駅の東西デッキに、約4メートルの大きさの風船でできたコアラのサンタ「マックス」と「ピュアラ」が出現するほか、各商店街ではイルミネーションも点灯する。

 またイベントにあわせて、商店街で12月1日から24日まで、クリスマスセールを開催する。

 担当者は「コアラのサンタはよく目立つので、待ち合わせ場所にも最適。クリスマスムードを味わいながら、ショッピングも味わって」と話している。

街頭イベント:ミャンマーの子どもたち支援 ガールスカウト府支部、あす /大阪

◇エイズ報告や募金--大阪市浪速区で
 ミャンマーの子どもたちの支援などに取り組むガールスカウト日本連盟府支部(高木紀代子支部長)が、街頭イベント「私たちは地球を救える~いのちの大切さ」を15日午前11時~午後3時、大阪市浪速区の港町リバープレイス・ウッドデッキスペースで開く。

 日本のガールスカウト運動が、来年で90周年を迎えるのを記念した全国一斉イベントの一環。スタディーツアーでミャンマーを訪ねたガールスカウトのメンバーが、現地で広がるエイズの実態を報告し、チャリティー募金を呼び掛け、現地の石を使ったアクセサリーも販売する。

 来場者に平和や命の大切さを書いてもらうメッセージカード、ペットボトルのキャップ回収、クイズコーナー、ガールスカウトメンバーによるダンスも企画している。

 雨天中止。問い合わせは同連盟府支部(06・6648・5757)。【青木絵美】

長澤まさみ:青い“星空”に包まれ「すてき」 東京ミッドタウンXマスイルミネーション

女優の長澤まさみさん(22)が12日、東京ミッドタウン(東京都港区)で行われたクリスマスイルミネーションの点灯式に出席。長澤さんの合図で約70万個の発光ダイオード(LED)が一斉に点灯した。主演映画「曲がれ! スプーン」(本広克行監督)のテーマカラーとなるブルーの“星空”に包まれた長澤さんは「すごい、すてきでした。こんな経験はなかなかできない」と感動した様子で、クリスマスの思い出については「子供のころにリカちゃん人形をもらったり、家族や親せきと集まって過ごしたこと」と笑顔で語った。

 映画は、普段は能力をひた隠しにするエスパーたちが年に1度集う秘密のパーティーに、超常現象のバラエティー番組ADの桜井米(さくらい・よね=長澤さん)がやってきて、大騒動に発展していく……というストーリー。長澤さんは「結構身近な存在なので、今までADさんを見てきたことをそのまま生かしました」と、役作りの秘訣(ひけつ)も語った。

 点灯式では、映画にちなんでねじ曲がった巨大スプーンが付いた特製の「スプーンベンチ」も公開され、長澤さんがスプーン部分にサインをしていた。ベンチは12日~12月25日、東京ミッドタウンのコートヤードウッドデッキに設置される。映画は21日から全国ロードショー。【近藤啓文】

 2009年11月12日

フェリー横転 「海に飛び込もうかと」

■乗客 ホースつかみ脱出

 熊野市沖で13日に起きたフェリーの横転事故。荒波がうねり海面が迫る状況を乗客や船長が語った。船体は海岸のそばまで押し流され、重油の膜が広がった。

 熊野市沖。時計は午前5時を回っていた。「ありあけ」は「ガーン」という音とともに船体を大きく右に傾けた。

 船内は、1~3階がトラックやコンテナを積む車両甲板で、5階が乗員の部屋。乗客のいる4階にも警報ブザーが鳴り響いた。乗客たちが目を覚ます。女性(41)もブザーに驚き、「急いで客室から通路に出た」。

 救命胴衣を着て通路で待機した乗客たちは、乗組員の誘導でデッキのある5階へ向かった。「荷物は持たないで」との声も飛んだ。傾く船内から左舷側の手すりに結ばれた消火用ホースをつかみながらデッキに脱出。デッキでは壁側にもたれかかって耐えながら、ヘリコプターの救助を待った。

 「必ず救助が来るから落ち着いて下さい」と乗組員。「がんばろうね」と励まし合う乗客の声が交錯した。

 ヘリは強風のため何度も上空を旋回した後、乗客をつり上げていった。
 頭などにけがを負った松本浩一さん(70)=東京都調布市=は「助からないと思った。死ぬんじゃないかと。海に飛び込もうかとも思った」。重信全宏さん(74)=鹿児島県湧水町=は救助後、「家族からテレビで無事を知ったから安心して帰ってきてと言われ、ほっとした」と話した。

■船長会見 傾斜がすごくて 風下飛び込めず

 13日午後開かれた記者会見での松元浩人船長とのやりとりは以下の通り。

 ――トラックやコンテナが波で傾いたのか。

 「一発の(大きな)三角波で、急に右舷傾斜し荷崩れしたと判断している」

 ――波の高さは。

 「あの海域の状況から4メートル前後の波浪だったと思う。だから三角波自体はもっと大きいのが来たと思う。1・5倍とか」

 ――どのあたりからか。

 「左舷の後方だと思う」

 ――救助される経緯は。

 「風下の左舷側から飛び込みたかったが、傾斜がすごくて飛び込めなかった。仕方なく波があったが、右舷側から飛び込んだ」

 ――命が危ないという危機感はあったか。

 「もうだめかなとは全然考えてなかった」

 ――海に飛び込んだ際の高さはどのくらいか。

 「8メートルか、10メートル近くあったんじゃないかと思う。波が大きくて、救命ボートの1台が、(自分が海面から乗った)もう1台の上に乗っかかってしまった。(こちらから)声をかけるんだけど、声が聞こえないから、本当に心配だった。その後、巡視艇の救命ボートで引き上げてもらった」

◆漏れだした重油 海黒く◆

 座礁した「ありあけ」は、御浜町の七里御浜沖で右舷を下にして横倒しになり、その甲板にも時折波が打ち付けていた。フェリーの周辺は漏れ出した重油で、荒れた海は黒く変色した。

 海岸には「ゴー」という音とともに、人の背丈の3倍以上の波が打ち付けた。様子を見に来た地元の人たちが、船の状態を心配そうに見守った。熊野市の男性(63)は「40年くらい前にも、(熊野市の)獅子岩の所で船が座礁したことがある。この辺は海が荒れると危険。横倒しになっていて、船をどうやって引き上げるんやろか。とにかく波が収まらんことにはな」と話した。