マンションのベランダに設置するウッドデッキが注目されている。打ちっ放しのコンクリート床の殺風景な印象が消え、家族でくつろげる場にもなりそうだ。
東京都江東区のマンション2階に住む会社員男性(46)は、3人の子どもが遊べる場所にしたいと、ベランダ(約19平方メートル)にウッドデッキを敷いた。「庭のような空間が手に入った。木のぬくもりがあり、子どもたちは喜んで遊んだり、くつろいだりしています」。リビングルームがフローリングなので、室内から外を眺めると、窓を挟んでベランダまでが一体化したように見える。空間が広く感じられるのもいい点だという。
施工した細田木材工業(東京)によると、最近、子育て世帯のほか、自宅にいる時間が長い高齢者世帯からウッドデッキの注文が増えているという。使用する木材は注文に応じて様々だが、江東区の男性宅ではブラジル産木材の「イペ材」を選んだ。硬くて耐久性に優れているのが特徴だ。同社のイペ材のウッドデッキは、1平方メートルあたり3万5000円(消費税別、運送費別)。
一方、ホームセンターなどでは、木材よりも安価で軽量な樹脂製パネルもある。これを組み合わせてベランダに敷いてもいい。関東甲信越を中心に展開するホームセンターの「カインズホーム」では、30センチ四方のパネル「ジョイントデッキ」(1枚498円)を販売している。必要な枚数を購入し、自宅で手作業で連結する。
建材販売会社「サンワカンパニー」(大阪)が扱っているのは、30センチ四方のパネル(11枚セット8580円から)と、14・5センチ×2メートルのパネル(1枚2960円から)。
ウッドデッキを設置する前に気を付けたいこともある。
ベランダは、共用部分にあたる。不動産コンサルティング会社「さくら事務所」(東京)の土屋輝之さんは、「管理規約を確認し、管理組合などに必ず設置の相談をし、了解を得てください」と話す。ウッドデッキの見本材を用意しておくと説明しやすい。
ウッドデッキの敷き方にも配慮が必要だ。細田木材工業の担当者は、「避難用はしごは覆わないようにする。また、排水溝の部分は、掃除がしやすいよう、ウッドデッキを簡単に取り外せるようにしている」と話す。
将来、大規模修繕工事で、ベランダの防水加工などが行われることもある。その際は、自分の責任で、ウッドデッキをいったん撤去しなければならないことも忘れずに。
マンション暮らしで唯一、外と広く接した場所がベランダ。細心の配慮をし、ルールを守って活用していくことが必要だ。
(2013年9月2日 読売新聞)