シー・シェパードがロケット弾で日本船を攻撃 船員3人軽症 緊迫の映像も

南極海で日本船団に対して調査捕鯨妨害を続ける反捕鯨団体シー・シェパードが11日夕から12日未明(日本時間)にかけて、捕鯨船にロケット弾を発射するなど、新たな攻撃を行った。監視船「第2昭南丸」のデッキにいた乗組員3人が酪酸弾の飛沫(ひまつ)を浴び、船内で手当てを受けた。顔面などが腫れ、痛みを訴えているという。日本側に人的被害が出るのは初めて。

 シー・シェパードは母船スティーブ・アーウィン号(オランダ船籍)と今回のキャンペーンで新たに導入された新抗議船ボブ・バーカー号(トーゴ船籍)の2隻態勢で、日本船団を攻撃。ヘリコプターが異常接近して、航行を邪魔したほか、高速ゴムボートも出動させ、捕鯨船のスクリュー破壊を狙って、海中にロープが投げ込まれた。

 また、高速ゴムボートからは、到達距離が伸びるランチャーから酪酸弾が投てきされ、捕鯨船の乗組員が飛沫を浴びた。この様子は、米CS放送局のアニマル・プラネットのカメラマンが撮影。映像は、今年夏から同局で放送されるシー・シェパードのドキュメンタリー番組「鯨戦争」シーズン3に反映されるものと思われる。

 シー・シェパードの抗議船2隻はここ2日、日本船団の追跡だけに留め、派手な妨害を控えていたが、日本の捕鯨関係者は「映像撮影のために、近日中に、総動員態勢で大規模な妨害作戦に出るはずだ」と述べていた。
捕鯨船団のカメラマンが撮影した写真には、団体代表のポール・ワトソン船長とみられる人物が自ら、ロケット弾を発射する様子もとらえられている。ワトソン船長は11日に声明を出し、「もし、日本人たちが鯨を殺すなら、新たな衝突が起こるのは必至だ。私たちは危険な状況から決して逃げたりはしない」と警告した。

 一方、日本鯨類研究所も、抗議船の船籍を認めているオランダ、トーゴのほか、シー・シェパードの事実上の母港があるオーストラリアに対して、「あらゆる手段を講じて、シー・シェパードの暴力行為を止めさせ、犯罪者を摘発する」よう要請した。

 

観光桟橋 3月末完成 館山市 国内最大級全長500メートル

館山市館山の旧県立安房博物館(現館山市立博物館分館)沖合に、県が主体となって建設を進めていた多目的観光桟橋(全長五百メートル)が三月末に完成する。二〇一一年度には展望デッキや水族館などを備えた「渚(なぎさ)の駅」も同分館に完成する予定で、関係者は「観光振興の起爆剤になる」と期待している。 (福原康哲)

 桟橋の海上部は幅六・三メートル、長さ四百メートルで、沖合の長さは国内最大級。先端部には、三万トン未満の大型客船が接岸できる長さ二百四十メートル、水深七・五メートルの岸壁を持つ。桟橋部分にはウッドデッキやフットライト、防護柵などが整備される。総工費は十四億二千万円。

 同市などは四月二十五日、桟橋完成を祝い式典を開く。式典では商船三井客船が所有する外航クルーズ客船「にっぽん丸」が初接岸する予定。

 また、〇九年からは同市が主体となり、市立博物館分館に桟橋のターミナル機能を付加するための改修工事も行っている。一一年度までに展望デッキや駐車場、水族館、レストランなどの商業施設を建設。「渚の駅」として整備する計画だ。工事費は三億五千万円。

 桟橋の建設計画は、館山湾が国の特定地域振興重要港湾に選定されたことを受け、国、県、同市の三者が〇二年に策定した館山港の港湾振興ビジョンで浮上。〇八年には、海上部分の工事に着手していた。

 同市や県は館山湾の観光・レクリエーション機能の充実に力を入れており、すでに大型客船の寄港や、高速ジェット船の季節航路など、港を活用した振興策を実施している。