平戸市生月町沖で12人が犠牲となった第11大栄丸沈没事故で、国内で初めて公的支援を受けて引き揚げられ、遺体収容を終えた船体が23日、魚礁として佐世保市宇久島の南東約3キロの海底に再び沈められた。
第11大栄丸は4月、大波を受けて沈没。船主の大栄水産(同町)が国や県の支援を受けて9月、水深約80メートルの海底から引き揚げ、行方不明者12人のうち11人の遺体が船内から収容された。
船体は、10月までに油抜きなど無害化処理が施され、エンジンなどの機器やマスト、甲板デッキなどを撤去した後、県が2730万円を掛けて魚礁化。宇久島沖の水深約54メートルの海底が、適地に選ばれた。
同日午後1時、宇久島から船体をえい航。魚道として十数カ所開けられた約50センチ四方の穴をふさぐ資材を除去し、午後3時すぎ、船底に設けたバルブを開ける注水作業が始まり、約19分で海に沈んだ。