千葉県館山市館山の館山港に先月、大型客船などさまざまな船が寄港できる大型桟橋「館山港多目的観光桟橋」が完成した。
「おそらく日本一の長さ」(同市)とされる桟橋は、全長約500メートル。環境に配慮し、地形を生かしたまま7・5メートルの水深を確保するため、先端を沖合に伸ばした結果だ。車道とウッドデッキの歩道(全幅約6・5メートル)が整備された道路桟橋で、夜間の照明もフットライトで対応し、館山港に生息する海の生物への影響を最小限にとどめたという。
館山港には、かつて大正初期から木製の「館山桟橋」(全長226メートル)が存在していた。
昭和46年に航路が打ち切られ、それ以降は市民の憩いの場や、映画などの撮影に使用されていたが、老朽化により平成15年に立ち入り禁止に。
そんな中、国、県、同市は14年に観光・レクリエーションの分野で地域振興を図るため「館山港港湾振興ビジョン」を策定。その目玉として据えたのが、海の観光拠点「多目的観光桟橋」の整備だった。
桟橋の最大のメリットは大型客船からの乗り降りが直接できるようになったことだ。これまでは沖合から岸壁までボートで輸送していたため、格段に便利に、効率的になる。
また桟橋は24時間一般開放するため、観光面でも集客を見込んでいる。
日中は空と海の青さに感動し、遠方に富士山を臨みながら釣り糸を垂れることも可能。夜はフットライトの柔らかな光に包まれ、新たな夜景スポットとしても期待される。
夏に向けては、定期的に桟橋上で「ウミホタル観察会」を開くほか、30日には「たてやま海まちフェスタ2010」が開催されるなどイベントがめじろ押し。
海の上を歩いているようなぜいたくな“散歩”は一度は味わう価値がありそうだ。