狭くてもフェンスや門…通風と目隠し両立

敷地が狭い住宅でも設置できるフェンスや門などのエクステリア(住宅周辺の設備)商品が、相次ぎ登場している。建物周りのスペースが限られるため、何も設置しないケースが多かったが、日当たりや風通しを確保しながら、外からの視線を遮れるよう工夫したものが人気を集めている。

2年前に木造2階建ての一戸建て住宅を新築した大阪府の男性会社員(28)は、当初は敷地と道路との境界にフェンスなどを設けなかった。道路が1階の居間から1メートルほどしか離れておらず、住み始めると、カーテン越しに外からの視線が気になった。日中でも雨戸を閉めていることがあった。

 そこで昨年3月、高さ3メートル、幅10メートルのポリカーボネート製の半透明のフェンスを、家の外壁と道路との間に設置し、日光を取り込みながらも外からの視線を遮れるようにした。外壁とフェンスの間にはタイルを敷き、植物なども置いて、小さな庭のようにした。現在は外からの視線が気にならず、居間には日が差し込んで明るい。妻(29)は「建物の外観もよくなりました」と話す。

 男性が設置したフェンスなどは「東洋エクステリア」(東京)の製品。アルミ製の枠や半透明のパネルなどを組み合わせてフェンスや門などを作ることができる。広報室長の神山直之さんは「建物の周りのスペースが狭くても、部材の組み合わせで対応できます」と話す。

 都市部では、敷地が舗装されているだけで、道路と接している住宅も少なくない。このため、狭い敷地でも設置しやすいフェンスや門などが、充実してきている。

 「YKK AP」(東京)の製品も、部材の組み合わせで狭い敷地に対応できる。道路との間に、アルミ製の横格子のフェンスを設置して風通しを確保しながら視線を遮ったり、2階までの高さのあるフェンスを設置して、2階の寝室や子ども部屋のプライバシーを守ったりできる。

 「三協立山アルミ」(富山)は、狭い土地でも設置しやすいカーポート(簡易車庫)を販売。一方の側を住宅の壁で支えられるため、柱の数を減らせる。

 エクステリア設計会社「エクスプランニング」(東京)の社長、古橋宜昌さんは「狭いスペースも工夫次第で有効に使える」と話す。

 例えば、勝手口の外の狭いスペースにウッドデッキを設置すれば、物干しなどを置ける。さらにフェンスで囲い、カウンターとイスを置けば、休憩スペースなどとしても使える。また、門を玄関の正面に設置するのではなく、横にずらせば、門から玄関までの距離が長くなり、敷地が広く感じられるという。

 「狭いスペースだからこそ、費用をあまりかけずに納得のいくエクステリアを設置できる利点もあります」と古橋さんは強調している。

(2010年04月22日 読売新聞)

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