10月30日11時0分配信 毎日新聞
八王子市の圏央道と国道20号八王子南バイパス建設を巡り、国土交通省は29日、自然保護を主張する反対派住民らが予定地内に設置した建物を撤去しなければ、11月18日~12月17日の間に行政代執行法に基づき代執行に着手すると発表した。28日付で代執行令書を住民側の代表者に送付した。一方、代執行命令を不服とする住民側は30日、国を相手取り命令の取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こすとともに、代執行停止決定を申し立てる。
国交省相武国道事務所によると、撤去を求めているのは、圏央道高尾山トンネル南坑口(高尾町)にあるデッキ状の建物(約30平方メートル)と木製看板。国側は「不法占用物件だ」として、今年2月から住民側に撤去要請を続けていた。
相武国道事務所の隅蔵雄一郎・計画課長は「(住民側の)自主撤去を原則として取り組んできたが、代執行手続きとなって残念。法に基づき用地の準備を進めたい」と話している。【内橋寿明】
◇「境界巡り係争中、執行対象でない」--住民側弁護士
国や都による行政代執行命令を受け、反対派の住民らは29日に八王子市内で記者会見した。デッキ状の建物を設置した高尾町の建設予定地に関しては、住民と国との間で所有区域を巡って東京高裁で係争中。住民側代理人の関島保雄弁護士は「土地の境界や区域という民事訴訟上の争いであり、行政代執行の対象ではない」と主張した。
反対住民でつくる「国史跡八王子城とオオタカを守る会」の米田(まいた)徳治事務局長は、「国が取得した用地はそもそも境界線があいまい。このまま命令には応じられない」と憤る。【内橋寿明】
◇都も代執行へ
都も29日、八王子市南浅川町の予定地に反対派住民らが所有する立木4本と看板2基について、撤去に応じなければ、11月18~21日の4日間で代執行をすると発表した。通知は28日付。事業主体の国土交通省と中日本高速道路が今年5月に代執行を請求していた。
一方、通知を受けて29日に記者会見した住民側は自主撤去か代執行に委ねるかは未定だが、争わない方針を明らかにした。都財務局によると、代執行の対象は、都収用委員会が昨年12月に収用を認める裁決をした2カ所の土地計約322平方メートル。所有者は立木が230人、看板が485人。代執行された場合、費用に見込む13万円は所有者に請求される。【木村健二、内橋寿明】
〔多摩版〕