夫婦の夢 里山ログハウス

基山町の里山に、夫婦が手作りのログハウスや眺望風呂を設け、癒やしの場として開放している。妻の乳がん手術を機に「残りの人生は好きなことをしたい」と、約15年をかけて夢を形にした。夫婦は「皆さんに喜んでもらいたい」と話している。(柿本高志)

 中野英機さん(69)と妻敬子さん(66)。整備したのは町役場から約300メートル離れた所に所有する里山で、「心身の癒やしの場・菜花野(なかの)」と名付けている。

 敬子さんはアパレルメーカーで働いていた50歳の時、がんの手術を受けた。「心身をぼろぼろにして働くより、好きな花と自然に囲まれて心安らかに暮らしたい」。仕事を辞めて荒れ放題だった里山に草花を植え、各地の観光地を見て回り整備する構想を練った。

 不動産管理会社に勤めていた英機さんは、妻の生き生きとした姿に触発され、定年2年前の63歳で退職。知人や業者に依頼して重機で約1600平方メートルの土地をならし、敬子さんのデザインを基に、廃屋から出た柱や知人にもらった木材でログハウスなどを整備していった。足りない材料はホームセンターで購入。造成費や材料費の千数百万円は退職金や預金で賄った。

 3年前に約30平方メートルのログハウスと、福岡県・耳納連山まで見渡せる展望デッキが完成。今年5月、鉄製の風呂釜を補修し、脱衣所を新築して眺望風呂を設けた。10月末にはログハウス近くにレンガを積み重ね、ピザを焼く石窯も造った。

 ログハウスでは、夫婦がコーヒーでもてなす。希望者は事前に連絡すれば風呂や石窯を利用でき、「仕事のストレスを解消できる」と福岡市から訪れる人もいるという。

 「夫が楽しそうに過ごしているのが何よりうれしい」と目を細める敬子さん。英機さんは「体力があるうちに退職してよかった。長く親しんでもらえるよう手入れを続ける」と話している。

 問い合わせは英機さん(090・1345・7692)へ。

(2009年12月8日 読売新聞)

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