シーベルインターの小型水力発電機 水流利用 手軽さで脚光

12月5日8時31分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 工場排水や上下水道の水流を利用した小型水力発電機導入に期待が高まっている。従来の水力発電は落差を利用し水車やタービンを回していたが、シーベルインターナショナル(東京都千代田区)は、水の流れる力を利用する世界初の発電機を開発した。設置場所を選ばず、段差を作るなど新たなインフラ整備も不要になる。クリーンエネルギーの普及に一役買いそうだ。

 水力発電は風力や太陽光発電よりも稼働率が高いが、設置場所が限定され、コストが高いのがネックで、導入が進んでいなかった。同社が開発した小型水力発電機は落差を作らずに水の移動エネルギーを利用して発電する。取水口を狭めることで、勢いのよい水流を作り出し、水車を回す仕組みだ。水に浮かべるフロート式で水表面の最大流速を効果的に利用、水路の数十メートルごとに設置できる。従来型の小型水力発電機よりも発電効率は約10倍高いという。発電した電力は工場施設での利用のほか、余剰電力を売却することもできる。

 海外での導入も検討されている。インドでは電力が到達していない農村エリアの電力供給を担う計画もある。発電所建設など大規模なインフラ整備も必要なく、用水路の水流を利用することで農村部で賄うだけの十分の電力が確保できるという。

 同社は船底に小型流水式水力発電機を設置した船舶開発も提案している。水上を航行することで水流が発生し、その水流を利用して発電する。河川であれば、停泊しているだけで発電し、蓄電も可能だ。

 船舶のデッキ上に太陽光パネルを設置し、その電力を使い推進することで水流が起き、発電。これによって「半永久的環境エネルギー船舶が誕生する」(同社)仕組みだ。

 すでに、電機メーカーの大規模工場への設置が決まっており、来年以降は上下水道や農業用水路への本格導入が見込まれている。海野裕二社長は「小型水力発電機の潜在的市場規模は数兆円になる」としており、国内外の市場開拓が進みそうだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA